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THE COVE (イルカ虐殺の『入江』) を観る
簡単に言うと、日本ではイルカの大量虐殺が行われている、それをとめましょう、というドキュメンタリー映画。
保護活動家たちは殺戮現場を撮影しようと、現場である入江に入り込もうとしてさまざまな妨害を受けるが、最後には目的を達成する。
その概略を私情を激しく交えて(笑)紹介しようと思う。

映画はまず、「日本は世界の漁場を牛耳っている」と紹介。これが真実かどうか知らないが、漁業が盛んな国のうちでもっとも金持ちなのは日本であるのは事実だろうと思う。
「イルカを一番集中的に殺しているのは日本にある入り江である。イルカは音にもっとも敏感であり、そのイルカが嫌がる音をがんがん鳴らして入り江に追い込み、網で囲う。フリッパーに似た若いメスは真っ先に目をつけられて世界各地のイルカショーのために売られていき、残りは殺され食用となる。年間34000頭が殺されている。日本近海を通るだけで、哺乳類は危険にさらされるのだ」(私は一回観ただけの記憶で書いているため、細かい数字、人の肩書き、団体の名前などは100パーセント確実とはいえない。が、大勢には影響ないと思う)。

****第一章 反対者の主張****

私の見たところ、保護活動家たちには三つの理由づけがある。

1 殺戮の残虐性
2 見世物、捕獲への反感
3 食用にすること危険性

これらを順に観ていこうと思う。

1 残虐性
私は見世物には反対だが、動物が動物を食うのに残虐もくそもないと思う。だが、イルカは人の命を助けると言ってるサーファーとか、野生のイルカと交流するのが好きな素もぐりの達人にとっては、イルカが血を流して死んでいくのは耐え難いことらしい。これは「犬を食べるなんて信じられない」という感覚と似たようなものではないかと想像する。
ぴいぴい鳴くイルカを次から次へ突きまくって(苦手な人は見ない方がいい)入り江はまさに、血の海と化すのであるが、じゃ、牛や豚バラす時には血が出ないの? と冷静に考えてみる。同じやんけ。と私は思う。

2 見世物になることの問題
反対活動家の一人は、往年の大人気イルカ番組「わんぱくフリッパー」のイルカたちを訓練したイルカ調教のパイオニア。彼がこの映画の主人公といってもいい。
「ショーをするイルカの笑顔は幸せそうに見えるが、それはイリュージョンである。ショー・ビジネスの背後で、イルカたちは死なないように抗ストレス剤を投与されている。自分が『フリッパー』で道をひらいたせいで、イルカと交流するのが楽しい、抱いたりキスしたり、そういうことが楽しいことだと世界中に広まってしまった」

フリッパーを演じていた一頭が(おそらくはストレスで)弱って死んだとき、「自ら呼吸を止めた、自殺といっていい」そのとき、彼の中で何かが崩壊したらしい。次の日には捕獲状態のイルカを開放しようとして逮捕されたという。「これがイルカの死に対する自分の反応だった」

「今までに何回逮捕されましたか?」と訊かれると、
「え? 年間で?」

それが自分の反応。
もうここまでくれば何も言うまい。
彼はイルカを愛している。自分が広めたことを自分の手で終わらせようとしている。
そのような信念に基づいて行動する人は同じ人間として尊敬しようと思う。

日本がパワーを握る団体には出入り禁止。
また、海洋・イルカ関係の催し物で、彼はトリの講演をつとめるはずだったが、土壇場で拒絶された。そのときのスポンサーはシーワールドだったという。

3 水銀濃度
「日本の安全基準は0.4ppm。漁が行われている現地で買ったイルカの肉は2000ppm。めちゃくちゃ水銀濃度が高いです」(漁業組合次長みたいな肩書きの日本人がそう説明している)

煤煙などに含まれる水銀は水を汚染し、小魚が汚染されると、それを食う魚はまるごとそれを体内にためこみ、食物
連鎖の上にいくほど高い濃度になっていく。
イルカの肉はあまり好まれないので、鯨の肉としてスーパーの棚などに並ぶ、という。以下、次長にインタビュー。

「水俣病みたいなことにはらないんですか」
「ありえないと思いますよ」

そして、『地元猟師たちは議論の矛先をかわすために、地元の小学生にイルカの肉をただでふるまった』という。

「あなた方はイルカの肉を全国の給食にまわすつもりですか」
「あなた方は完璧に我々を誤解しています」

しかし後から、市役所の役員二人が出てきて、「私には五歳と七歳の男の子がいます。給食というのは強制なんです。残すことができない。それを考えて、(水銀の)数値を公表することにしました」

ナレーションいわく、
「出る杭は打たれる、という言葉がある。日本の社会で大勢に楯突くことは大変困難なことである。こういった環境保
全問題に取り組む大きな組織は日本には存在しない、あるいは機能していないといっていい。彼らは命の危険。。。でなければ、生活の危険をおしてそういうこと行動に出た」

その甲斐あってイルカメニューは給食から殲滅。
先の誤解だと主張した次長の髪の毛からも水銀が確認され(それが原因かどうかは知らないが)
2008年に解雇されたという。

おまけ映像では、水銀濃度を調べる日本の科学者たちがインタビューされている。彼らは政府に雇われていて、音声
変換、モザイクつき映像。
「一定量のマグロを摂取し続けると、二週間で体内の水銀濃度は二倍にはねあがります。ここで、実験に使っていた
安いマグロが市場からなくなってしまいました。仕方なく高いのに変えたのですが」

結果はいっそう悪くなった、という(この部分、音声がよく聞き取れず、字幕があってるかどうか定かではない)

彼らを寿司屋で接待したが、誰一人寿司を口にしなかった、という。
*****第二章 漁師との対立と潜入工作****

この部分はいうなれば「ゴシップ」の類だと思う。
感情に感情をぶつけて、何かが解決するはずもなし。
距離をおいて観ることをおすすめする。

入り江周辺は、立ち入り禁止区域だらけ。
何をするにも許可がいり、警官には尾行される。
市の側からすると、イルカ・ショーをやりつつイルカの肉を売り、鯨博物館まであるのだから、イルカ・鯨は観光の要。その裏側でスプラッタ・ショーやってる光景など見せたいはずもなし。

ドキュメンタリーを作るよう、BBCなどにももちかけたが、全員手ぶらで帰る羽目になったという。

漁場の日本人の一人はカメラマンに対し、携帯カメラを向けながら、帰れよ とヤクザまがいの態度で脅し、その映像が何回も出てくる。また、中指を立てる人もいる。これは、 日本人にとってもほかの人にとっても、大変不快な映像である。

「地元漁師の一人が私の目の前で死んだイルカの喉元を切ってみせた。彼らは私を怒らせて殴らせたい(警察沙汰にしたい、ということだろう)んだ。もう少しでぶちのめしてやるところだった」

先の人物とほかの人たちも、携帯電話のレンズを活動家に向けながら対峙していたことからして、「相手に手を出させて問題にする」という戦略は、真実だろうと思われる。でなければ、あまりにも不自然な行為。しかし誰も、この罠にひっかからなかった。残ったのは携帯片手に凄む日本人の映像だけ。正直、非常に恥ずかしい。

「日本の刑務所は28日間(←23日だったかどっちだか忘れた)、拘留できるんだ。その間にいじめられるシステムなのさ。夜中にたたき起こして眠らせなかったりとか」

「機会さえあれば漁師たちに殺されてるよ」

そのような状況下で、活動家たちはいけしゃあしゃあと嘘をつく。
「捕獲に反対しに来たんですか」
「違います」
「禁止区域に入らないでください」
「入りません、入りません」
「深夜と早朝、マスクをした男たちがあやしげな行動をしているのが目撃されているのですが、あなた方のメンバーではないのですか」
「いや私は一個人としてしか話はできない。私は団体ではないのだから。私自身は知らないね。夜中は寝ていたし。水銀濃度の話ならしたけどね」

結局、深夜に岩や鳥の巣に偽装したカメラを各所に設置し、リモコン・ヘリまで飛ばして、スプラッタ映像を確保。天下のBBCに、そんな真似ができるはずもなし。地元漁師にとっては間違いなく最悪の行動だろうと思うが、倫理的に問題があるのかと言われれば、? 隠しごとをしているのと、どちらが倫理に反しているのかという話になる。

サーファー連盟の若き盟主は、「タイガーシャークが仲間の近くによってきたとき、イルカがよってたかっておっぱらってくれた」と話し、殺戮が行われている最中、入り江に仲間と入り、手をつないで「海の生命に祈りをささげよう」みたいなことをしているうちに、漁師たちに棒でつつかれて退散を余儀なくされる。女の子は泣いていたが、漁師たちの仕事場にサーフボードこいで集まる、これは、どっちもどっちだ。と思う。

「この映画には、(真の)悪人はいない」。
「知れば知るほど、(真の)悪は大きくなる。ある意味、我々はみな悪人(罪人)である。ここに描かれたことは氷山の一角にすぎない」

特典映像では、アメリカにおける水銀入りワクチンの配布、国ぐるみの水銀の人体汚染の研究妨害の陰謀が語られる。国民を病気にして製薬会社を守るためか? 意味がわからん。改善されたのはクリントンのころ(1998年)だという。遅っ!

正直、私はどちらの味方でもない。

双方の品のない言動はスルーすることにして、私はイルカを殺して食うこと自体に、倫理的問題があるとは思ってない。
「イルカには明確な意識があり、周囲に何が起こっているか把握する能力がある」

これは哺乳類みんなそうじゃないの? 

あたかも、牛や豚には自分や仲間が殺されたりすることの自覚がないような言い草である。このようなヒエラルキーを理由にもってくる人間を私は個人的に信用しない。イルカを救わねばという信念は尊敬するものの、賢さをもってくるのは人間中心主義。差別的だ、とすら思う。

また、ショー・ビジネスに関しては、それを楽しむ我々に最大の責任がある。需要あれば供給あり。
これは、象を殺す貧しい国より、象牙に大枚払う豊かな国の方に責任がある、というのと同じ考え。
象牙輸出制限というのは聞いたことがあるが、ショービジネスを国際的に制限する取り決めというのは聞いたことがない。

したがって入江漁にどれほどの倫理的問題があるかといわれれば、
『無断で隠し撮りする方といい勝負ではないか』というくらいにしか思わない。

ただし、水銀問題となるとそうはいかない。
「点数稼ぎのため、水銀濃度を知っていて子供の給食に広めようとした」
この解釈があっていれば、それは倫理的問題だ。言い訳の余地はない。「氷山の一角」この問題は、国がきっちり管理しなければならない。

それを確認したうえで、最終パート。

****最終章 日本の言い訳****

この章はすごい。覚悟してください(笑)。
保護団体は、OPSとかいう名称だった。Oceanic Protection Society? 興味がある方は各自調べてください。彼らはなんと、
「同じだけのお金をあげるから、イルカを殺さないでください」と漁師たちにお願いする。
漁師答えていわく、「イルカを殺すのは金じゃないんだ。政府から害獣駆除を頼まれていてね」

もしもし?
害獣駆除と申しましたか。
さあここからがすごいぞ。

私の記憶が定かならば、「日本がパワーを握っていて、フリッパーの元調教師が出入り禁止の団体」は、「国際捕鯨管理委員会」 IWC (International Whale Committee の略?)だった。その席上でなんと日本代表は、

「魚が減っている原因として、イルカ・クジラの捕食行動は看過できないのであります」

と堂々と発言したのだ。いや、ホントですって。ちゃんとカメラに映ってるんだから。
魚が減ってるのはイルカ・クジラのせい。だから殺さなければならない。

ある意味すごいよ(笑)

こんな理屈を国際会議の席上で言う神経!
携帯もって脅しかけるより恥ずかしい。
私も大概いろんなドキュメンタリー観てきたけど、ここまで幼稚な理屈は聞いたことがない。
私の知る限り、過去二十年にわたって、いろんなドキュメンタリー、新聞、科学雑誌などで魚が減ってることがとりあげられきたが、その原因は人間の乱獲・環境破壊というのが共通認識。これは、ガゼルが減ってるのはライオンのせいだ、というようなもんだ。大体、人間が介入しなければ数にバランスができるようにできてるんだから。

「バイオロジカル・ナンセンス(生物学的非常識)」といわれてしまう。

しかし、日本はクジラのことなんてどうでもいい貧しい国を買収してIWCに招きいれ、票をかせいでいく。
カンボジア、ラオス、マーシャル・アイランド共和国、エクアドル、あと名前もあまり聞かないような小国。
してやったりとばかりにやにやする日本代表。
どこかの代表二人は、「どんなクジラがいますか?」と聞かれ、
「え? 私はその。。。お隣の彼なら。。。」
「ああ。ザトウクジラとかがいますよ」
「クジラは見たことないわ。テレビでしか」

日本は見返りの一環として、「フィッシャーマン・ハウス」をいろんな国に贈呈するのだが。。。
「全然使われてない。漁業と全然関係ないから。あるところでは養鶏場に、あるところでは倉庫に」
ある反対派、評していわく、
「自分の国の票を日本に売り渡すなんて売春行為だ。日本は美しい環境の場所に、ネオンの入った売春宿を建設している」

そうまでしてなぜクジラ・イルカにこだわるのか。

「日本人が捕鯨にこだわるのは、金でも文化でもない。帝国意識の残照だ。日本は西洋社会から、あれしろ、これしろ、いついつやれ、と指図され続けてきた。もう十分だ。俺たちはクジラを取る。文句を言うな。そういうことだと思う」
(どこかの国の黒人の人がそういっていた。別の白人(アクセントからするとブリティッシュかも)は、misplaced nationalistic pride と表現していた)



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【2010/03/15 06:23】 | 自然・生き物 | トラックバック(0) | コメント(0) |
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